今ではショウジョウバエのコネクトームも解明されましたが、線虫C. elegansはそのすべての神経細胞の神経回路の接続(コネクトーム)が解明された最初の多細胞生物です。コネクトームという単語に含まれているオームというのは、数学のΣ記号にあたる接尾辞で、プロテオームproteomeといえばすべてのタンパク質の集合、ゲノムgenomeといえばすべてのgeneの集合という意味になります。つまりコネクトームconnectomeといえばすべての神経細胞間のコネクションの集合という意味になるわけです。線虫のコネクトームが解明された時、先見の明のある企業のNECは、基礎研究所に線虫研究の部門をつくって研究をすすめていました。現在活躍されている優秀な線虫研究者にはこの研究所出身のかたもおられます。九大で開催された線虫講習会には、NECの佐野亨さんが講師でこられており、Linuxの使い方からはじまって線虫ゲノムデータベースであるACEDBの使い方などを教えてくださいました。私がはじめてLinuxというものを知ったのも、この佐野さんの講義です。
近頃、線虫のコネクトームは、AI研究にどのように役立つのだろうか、と思っていたのですが、ちょうどよい動画を見つけました。
YouTubeの動画で、線虫のコネクトームのAIとの関連を、制御工学とニューラルネットワークの立場から考えている動画です。PubMedで演者を検索すると、神経ネットワーク解析やバイオインフォマティクスの専門家の方でしっかりした論文もだしておられる若手の研究者の方のようです。
AI時代に線虫のコネクトームがどう生かされるのか、ちょっと興味をひかれる動画で時間ができたら見てみたい動画です。