今までタンパク質のアミノ酸配列を決定する方法としては Edman 分解や質量分析法を使うのが定番でした。DNAの塩基配列の決定法に革命をおこしたナノポアシークエンス法が、ついにタンパク質のアミノ酸配列の決定に実用的に使えるようになってきたという論文が9月19日号の雑誌Natureに掲載されました。巧みな方法でタンパク質の3次元構造を巻き戻して一次元の構造になったタンパク質鎖をナノポアに通して2アミノ酸単位でナノポアを通過していくときの電位変化からアミノ酸を決定するという手法です。リン酸化や糖鎖付加の位置も検出できるようで、これが製品化されればまさに革命的だと思われます。論文はオープンアクセスになっているので、誰でも読めますしダウンロードもできます。
Motone, K., Kontogiorgos-Heintz, D., Wee, J. et al.
Multi-pass, single-molecule nanopore reading of long protein strands. Nature 633, 662–669 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07935-7
筆頭著者は大阪大学の元根 啓佑先生 (工学研究科 附属フューチャーイノベーションセンター,助教、若手卓越教員(PI))ですね!今もこの研究を発展させておられるようで今後の発展に目が離せません。
科研費書いてたら完全に出遅れましたが、ワシントン大学での研究成果が@Nature で公開されました。ナノポアを使ってタンパク質分析を色々やりました(一つの論文に内容を詰め込み過ぎました😅)。
今年6月から大阪大学に着任し、引き続きナノポア研究をさせて頂いております。https://t.co/9dvj0hJpRE— Keisuke Motone (@KeisukeMotone) September 12, 2024
論文はこちらです。
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07935-7
この論文を著者たちが解説している動画がYouTubeにあるので論文を読む前に動画を見ることをお薦めします。