生命の起源についての新しい仮説の動画がありました。

英国ケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究所にあるLeverhulme Centre for Life in the Universeは、生命の起源、宇宙生命などを研究する研究所です。これはLeverhulme子爵(William Lever)という貴族・政治家・企業家の遺産によって設立されたLeverhulme Trustがケンブリッジ大学に寄付して設立された研究所です。この研究所のYouTubeチャンネルで、ハーバード大学の研究者による生命の起源についての講演があったので紹介します(今年の5月1日の講演の動画です。)

生命のホモキラリティー(簡単な解説は東京大学の石井先生のこちらのサイトにありますので参考にしてください。https://www.k-ishiilab.iis.u-tokyo.ac.jp/research/theme1/1-1.html)の起源についての新しい仮説です。身近な例でいえば、アミノ酸にはL体とD体という鏡に映った関係にある異性体があって鏡像異性体と呼ばれています。普通の化学合成ではL体とD体が同量できます。しかし生命は主にL型のアミノ酸を使っています。また糖ではD体が主に使われています。このように鏡像対称性を持つ分子の一方だけが選ばれて使われているのがホモキラリティーです。生命はホモキラリティーを利用することで、成り立っており、生命の起源の解明には、ホモキラリティーの生じた機構の研究も不可欠です。この講演ではホモキラリティーの起源としては、Chiral-induced spin selectivity(CISS effect:シス イフェクト)という20年ほど前に発見された現象の逆の過程で、磁気を帯びた鉱物の表面でホモキラリティーが生じずるというメカニズムを提唱しています。キラリティーがこうして破れた後、増幅していく過程もTCAサイクルにもふれながら説明していて大変興味深い仮説になっています。
Furkan Öztürk | A new spin on the origin of biological homochirality
https://youtu.be/nTg2a81kbVw?si=ZW8ByRd-cCQ3zvQK