分子動力学法のよい教科書が出版されたので紹介します。

「分子動力学法と原子間ポテンシャル」 渡邉孝信 (著) 森北出版 という本を買いました。https://www.morikita.co.jp/books/mid/092251

出版社のサイトによると
「はじめて分子動力学法を学ぶ読者に向けて、初歩的な知識から実践的な計算手法まで解説します。
とくに、分子動力学シミュレーションで重要となる「原子間ポテンシャル」について、さまざまな種類を網羅的に取り上げます。どういった対象に利用できるのか、どういったパラメータがあるのかなど、それぞれの特徴を理解できます。
さらに、汎用性が高いことで注目されている「ReaxFF」や、機械学習ポテンシャルの1種である「ガウス近似ポテンシャル(Gaussian approximation potential)」についても詳しく解説しています。一歩進んだシミュレーションを行うための手がかりを得ることができます。(後略)」という本だそうです。

読み始めていますが、分子動力学法の発展史に続いてMD法でつかわれる運動方程式の解法のわかりやすい説明が書かれています。ベレ法と速度ベレ法、結果の可視化のためのVMD  (Visual Molecular Dynamicsというプログラム)の使い方の説明が続きます。C言語でのプログラム(上の森北出版のサイトからダウンロードできます。また本文に詳しいプログラムの説明が書いてあるのもありがたい配慮です)を実際動かしてアルゴン液滴のMD解析を実際に体験しながら学ぶというスタイルで、最初から手を動かして学べるので大変よい入門になっていると思います。第二章は運動方程式の数値解法から始まる分子動力学法の方法論の解説です。この辺りを読んでいるところですが、大変よくわかる教科書だと思います。研究室配属された学生がまず読むべき本を目指すという著者の意図は大変上手に実現されていると思います。フリーのMD解析ソフトのLAMMPSのチュートリアルもついていますし、原子間ポテンシャルの選択法とかもよくわかると思います。購入をおすすめできる本だと思います。写真は散歩中に撮影したコスモスです。近くにはカラスウリが風に揺れていました。