らんまんの丈之助のモデルはやはり坪内逍遥でしたね!ケンブリッジ大学の図書館にも彼のシェークスピア全集は所蔵されていました。

今日のらんまんでは、堀井 丈之助が久々に登場してシェークスピア全集を完成させたと届けにきていましたね。彼のモデルが坪内逍遥ではないかと思っていましたが、そうだというのが確定しましたね。
坪内逍遥のシェークスピア全集は、私が最初に英国に留学した時、ケンブリッジ大学図書館に収蔵ざれて全集を手に取って読んだのを思い出します。ケンブリッジ大学図書館には、多数の日本語書籍が開架図書室に収蔵されていてその量に驚きました。中には小学生の子供の読めるものもあって貸出してもらって家で子供と一緒に読んでいたこともあります。漱石全集とか小泉八雲の作品集などもそろっていて、日本の文学、哲学関係の本が潤沢にあるので、よい図書館だと思いました。この図書館にはアルキメデスの方法という有名な稀覯本(一部)なども所蔵されています。開架書庫にはいるときには、タイマーのつまみを回しておいて、タイマー(電気を使わない、ねじ式のタイマー)が回っている間だけ蛍光灯が点灯するようになっていました。10分とかたつと自動で照明がきれるので、電燈の消し忘れも気にせずに閲覧できるという、かしこいシステムを導入しているのは参考になりました。
さて、今日のらんまんでは、野宮さんが登場、波多野さんはドラマではすでに学士院会員となっており、二人はそれぞれイチョウとソテツの精子の世界初の発見で第二回恩賜賞を受賞することになります。以前のこちらの記事に書きました。

朝ドラ「らんまん」にでてくる画工 野宮さんのモデルは平瀬作五郎ではないでしょうか?

最初のケンブリッジでの所属先は動物学教室で、地下にラボがありました。私は進化生物学で有名な長谷川真理子先生と入れ替わりで動物学教室に留学したのを最近知りました。動物学教室の近くには旧キャベンディッシュ研究所跡があって、ここでワトソン・クリックが研究していたのだと思って歩いていたのを思い出します。動物学教室の博物館にはDarwinの採集してきた標本とかも展示されていました。感激して一人でみていたのも思い出します。博物館にいたのは私一人でした。

ケンブリッジに着いてすぐでしたが、研究の必要からセルソーターを借りる必要があって、その手続きでJim Watsonさんに電話したこともあります。電話口で彼は、私はあのDNAの構造を発見したWatsonではないと、最初にことわってくれたのが印象的でした。同姓同名でケンブリッジ大学にいるのでよく間違われるので、いつもことわるんだとおっしゃっていました。私の大家さんはPortugal Placeに住んでおられて隣にはCrickが住んでいたそうです。当時はそのCrickの家の軒先に二重らせんのオブジェがぶらさげてありました。これは当時Klugのラボに留学されておられた京大の中世古先生に教えていただいて、子供たちと一緒に前で写真をとったのを覚えています。用時でTim Huntさんを訪ねたこともあります。訪れた時はちょうどWoods Holeの学生実習で、増井 禎夫の発見したあのMPFにサイクリンとcdc2が含まれているということがわかった直後だったので、興奮してそのニュースを教えてくれました。ノーベル賞につながった発見のエピソードを本人から直後に詳しく聞けたのはいい思い出です。研究室ではアフリカツメガエルを飼育するのに西洋の普通の家にある細長いバスタブをつかっているのを見せてくれました。Huntさんは後にノーベル賞受賞後、英国のサッチャーの科学政策を激しく批判しておられましたが、研究者に予算がこないのでバスタブをつかってカエルを飼育していたということです。昔は京大でもビーカーを買う予算がないので、ワンカップ大関の空瓶をつかっていたというのは有名な話です。

増井さんについては、生命誌研究館のこちらの記事がわかりやすいです。
http://brh.co.jp/s_library/interview/25/