量子テクノロジーを理解するための新刊書(無料の英語版)を紹介します。

量子テクノロジーを鳥瞰するという本が最近でました。 Olivier EzrattyさんによるUnderstanding Quantum Technologiesというタイトルの本で、著者のサイトからpdf版の本が無料でダウンロードできます。
https://www.oezratty.net/wordpress/2022/understanding-quantum-technologies-2022/
量子物理学の応用を量子力学の基礎からはじめて、量子コンピュータや量子アルゴリズム、量子暗号、量子生物学など、ほんとうに広範囲にわたってまとめている本です。読者が非専門家の場合はどこを読めばよいか、学部生が読むべき部分はどこかなどの読み方の手引きもはじめのほうにあります。もともとはフランス語ででていた本の英語版(フランス語版から数えて第5版、英語版の第二版)だそうです。なんと図版は900以上、ページ数は1128ページという本で2021年にでた英語版が836ページだったそうで、大幅な改定版ですね。本の後のほうには量子物理学の疑似科学での利用例なども取り上げられています。病気をbiphotonというもので診断治療するとか、水に記憶が残るとかいうNatureにでた論文の詳しい解説もあって、その最近までの発展なども詳しく書かれています。一昨日、日本での講演動画を紹介したハメロフ、ペンローズの意識の量子論なども酷評されています。面白いです。無料でダウンロードできる英語の本ですので、是非著者のサイトからダウンロードして面白そうなところを読んでみてください。 著者はもともとはマイクロソフトの技術者でVisual Basicを作ったりしていた人だそうで、現在は量子テクノロジーの会社を経営したり、フランス政府のコンサルタント、企業のコンサルタントなどをしている方らしいです。