これは全く知らなかったのですが、円周率はすでに100兆桁まで計算されているのですね。この仕事はGoogle Cloudの開発者で、Google Cloudで2019年に円周率 31 兆 4000 億桁という当時の世界記録を樹立した岩尾エマハルカさん(この2019年の仕事で女性として史上3人目の円周率計算の世界記録保持者になったそうです)の主導で行われた業績です。岩尾さんについては、去年のNHKの記事にある対談をご覧ください。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/senpai/senpai75/
100兆桁の計算については、岩尾さんが書かれた2本の記事(いずれも日本語)がわかりやすいです。
https://japan.googleblog.com/2022/06/new-digit-pi-2022.html
https://cloud.google.com/blog/ja/products/compute/calculating-100-trillion-digits-of-pi-on-google-cloud
後の記事からすこし引用します。
「以上のような性能測定と最適化の結果、100 兆桁の円周率の計算が無事に完了しました。ちょうど 100 兆桁目は 0 でした。計算が終了してから、最終結果を Bailey–Borwein–Plouffe の公式 (BBP の公式) という別のアルゴリズムを用いて検証しました。この検証が、円周率計算全体で最も怖い瞬間です。計算に 5 ヶ月を費やしても、最終結果を確認するまでは、途中経過が正しいのか確実に確かめる方法が無いからです。幸い、BBP の公式と今回の結果が一致し、計算が正しいことが確認されました。以下が小数点以下 100 兆桁目までの 100 桁です。
4658718895 1242883556 4671544483 9873493812 1206904813
2656719174 5255431487 2142102057 7077336434 3095295560
全桁の結果は、こちらのデモサイトでご覧いただけます。
https://pi.delivery/」
最後のリンクのサイトから、計算結果を全部ダウンロードできますし、円周率の音楽なども聞くことができますのでご覧ください。
また岩尾さんの2019年の円周率計算結果をもとに、
偉大なコンピュータ科学者Don Knuth スタンフォード大学名誉教授が講演した
Stanford Lecture: Don Knuth – “Pi and The Art of Computer Programming” (2019)
もご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=3DKo219ZHMw&t=356s
超越数である円周率Piの配列の中に、宇宙の創造者のメッセージがはいっているというカール・セーガンのSF 「コンタクト」の最終章をまた読みたくなってきました。この本のなかでセーガンがワームホールで宇宙旅行するというアイデアをキップソーン(Kip Stephen Thorne)から教えてもらったというのは有名な話です。ソーンは映画インターステラ―の監修もつとめていてSFに強い物理学者だと思っていましたが、2017年のノーベル賞物理学賞を授賞しましたね。
https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2017/thorne/biographical/