今朝、庭をみると一輪の朝顔が咲いていました。
今年の一番朝顔です。
子供が小学校のとき自分の植えた朝顔だけ、葉っぱばかり茂って、一学期が終わったのに花がつかないと泣いていました。
ところが7月下旬から咲きはじめ、11月まで咲き続ける遅咲き朝顔で、結局クラスで一番たくさんの花がつく朝顔だったので、大喜びでした。
毎年毎年、こぼれ種で年をこして、 今頃から咲きはじめ、咲き続けてきました。
遺伝学では交配した一代目をF1といいますが、もう22年たっていてF22の朝顔です!
遅咲きの形質(表現型)はずっと保存されています。
九州大学の生物学教室の仁田坂 英二先生は朝顔で形態形成とその原因となるトランスポゾンの研究をしておられて、
ナショナルバイオリソースプロジェクト「アサガオ」のリーダーとしても活躍されています。
先生が作成しておられるホームページには朝顔についての様々な情報が集まっていますのでご覧ください。
先生は、変化朝顔図鑑(化学同人, 2014)というきれいな本もだしておられます。
朝顔の学術研究が始まって今年で100周年、栽培ブームが始まって200周年だそうです。
アサガオを使ったメンデル遺伝学の実験の情報も先生のホームページにありますが、
このような植物の交配実験からメンデル遺伝学が誕生したのでした。
細胞生物学の講義でも話しましたが、学生の時、メンデルの論文を読んだ私の第一印象は、「これは生物物理学の論文」である というものでした。その論文、「雑種植物の研究」には、優勢の遺伝子を大文字のA、劣性の遺伝子を小文字のaで示すという現代の表記法のもとになる表現が用いられており、下の 図のような数式が掲載されています。
当時実体がわかっていなかった遺伝因子についてちゃんと数値データをとって議論しており、表現型をしめすマメの数を数えて議論しているのが見事です。メンデル以前にメンデルとにた考えを思いついた学者もいたようですが、数値的に扱わなかったのが彼との違いだったようです。日本語訳は岩波文庫などで読めますが、無料のものはみつかりませんでした。英語やドイツ語なら無料のものがいろいろあります。
ドイツ語のもとの論文はInternet Archiveという無料の電子ブックやビデオなどを集めてあるサイト からダウンロードできます。pdfファイルの106ページからMendelの論文がはじまります。英語版が見たい人は下にリンクがありますのでそちらからダウンロードしてください。また英語、ドイツ語版の論文が両方読めるMendel webというサイトがあって、
読みやすい翻訳があります。
近藤滋さんのメンデルについての紹介 もおすすめです。
Internet Arhiveからは英語への翻訳本も、ダウンロードできました。
Mendelなどのキーワードで検索して探し出せます。 1925年発行の本で図はその本のページをスクリーンキャプチャしたものです。pdfだけでなく、iPadやKindle型式の本もダウンロードできますので試してみてください。Mendelはドップラー効果で知られる有名な物理学者ドップラーのもとで物理学を学んだそうで、物理の素養も深かったそうです。
下のような簡単な数式だらけの論文ができるのもうなずけます。