プレプリントサーバーとその活用法の紹介4―最新情報の追加です

このブログではプレプリントサーバーの活用について紹介してきました。いつも多数のアクセスありがとうございます。写真は近所でみかけたくずの花です。秋も深まってきました。

何度もNIHのVideoCastを紹介していますが、数日前に米国のポスドクの現状とポスドクとしての能力、存在感をアピールするのにプレプリントを発表することが薦められるという講演があったので紹介しておきます。Jessica PolkaさんのNIHでの講演で、米国のポスドクの現状、最初のfirst author(筆頭著者)の論文を発表するのに要する期間が、これまでになく長くなっており、論文が少ないので研究費を獲得したり、次の職を得るのに困難を覚えるポスドクが増えているのに対する対策、そして査読する能力をどのように向上させるかなどを扱っている、興味深い講演でした。
講演のスライドはここをクリックするとダウンロードできます。Google documentに保存してあるのでFirefoxではうまくいかないので、Google のブラウザChromeかInternetExplorerでアクセスしてください。青字で閲覧のみとか書いてありますが、スライドはダウンロードできます(開いたページの「ファイル」をクリックして開き、「形式を指定してダウンロード」を選んで、Powerpointやpdfなど好きな形式でダウンロードしてください。講演は高画質でダウンロードできますので、たとえば1240kの高画質でダウンロードして、適当なメディアプレーヤーでみればゆっくり講演を聴講できますのでお試しください。ハイビジョンの高画質のムービーでもみられるメディアプレイヤーとして、私はMPC-BEというフリーソフトを使っています。

JessicaさんはASAPbio(エイサプバイオ)という組織―ASAPbio (Accelerating Science and Publication in biology) is a scientist-driven initiative to promote innovation and transparency in life sciences communication. We are a 501(c)3 nonprofit incorporated in the state of California―に属していてプレプリントの利用を推奨するとともに、ポスドクのキャリアパスについても研究している方です。

講演にもありますが、論文に要求されるデータ量が激増していいます。それで昔は4年の大学院(米国の例)の場合、平均3-4年で筆頭著者の論文first author paperがでたが今では平均4-5年と論文の出版が遅れるようになっているようです。これは論文として出版されるために必要な実験量が昔の倍以上になっていることも原因であり、以下の論文で具体的に実証されています。論文中の実験量は図のパネルの数―つまりFig. 1A, Fig. 1B,. Fig. 1Cなどどある場合のA,B,Cなどの数―を数えてそれにTableの数などを加えて算出してます(註1)。下の論文やこのビデオをみてもらうとデータがありますのでご覧ください。実験量が増えたことで、論文として完成するのに時間がかかり、ポスドクや院生が論文をだすのが遅くなってしまうわけです。これは日本で多い5年プロジェクトなどでも経験しますが、ポスドクや院生や研究者にとって深刻な問題です。それをどうして救うかというのがこの講演の内容です。プレプリントを活用できるというのがこの講演の一つのメッセージです。(註1:私見ですが、さらにグラフの場合、統計処理するためサンプルのサイズN=30とかになることがよくありますので、一つのパネルといってもそこには本当に多数の実験が繰り返されている場合があり、これをカウントするともっと実験量が増えると思います)。

Accelerating scientific publication in biology
Ronald D. Vale

プレプリントのメリットは、いろいろあります。
メリットその1) 去年あたりから、グラントの申請や業績報告書にプレプリントを掲載することができる組織が激増しています。つまり就職活動や研究報告、新しい研究費の申請のときに、業績としてプレプリントが使えるようになっているわけです。
日本の方に関係あるところでは
Human Frontiers Science Program (December 12, 2016)でもプレプリントが利用できます。“The Board of Trustees of the International Human Frontier Science Program Organization (HFSPO) has decided that for competitions starting in calendar year 2017, applicants may list preprint articles in the publication section of HFSP proposals. Current HFSP awardees are also permitted to cite publications which are deposited in freely available preprint repositories in interim and final reports to the Organization.”

といった具合です。Wellcome Trust , MRCやNIH, HMMIなど大手のグラント母体もそういう方針になっています。これもASAPbioのページにリストがあります。

プレプリントについては以下のページ(ここをクリック)がまとまっています。またpreprintについて投稿してみた人の経験がこのリンクに動画と画像で紹介されています。

プレプリントサーバーは以前にも紹介しましたが、最新のプレプリントサーバーのリストがありますのでご覧ください。Research Preprints:ServerListというページです。

ここにリンクがあります。

メリットその2) プレプリントを公開すると学会の講演のように、研究者の存在感を示すことができます。

メリットその3) フィートバックがくるので論文を改善できます。bioRxivの場合は10%ほどにコメントがつくようです。他の人にコメントをみられたくないという人も多くて、そんな人は著者にemailしてきたり、twitterやFacebookなどのSNSでコメントをくれるようです。プレプリントサーバーのコメントは公開前にチェックが入っているので炎上とかなないようです。

メリットその4) 雑誌の編集者はプレプリントをみていますので、プレプリントをみてうちの雑誌に投稿してくださいといってくることinvitationも結構あるそうです。(PLos GeneticsやProc. Royal Society Bなど)

メリットその5) 研究の早い段階でプレプリントをみて連絡してくる共同研究者が見かる例も多いそうです。

メリットその6) いつどんな研究をしたかを、公開のプレプリントサーバーに記録としてのこせる(doiもプレプリントに付与されますし、プレプリントの引用を許している雑誌も増えています)上に、バージョン管理もできる。

メリットその7) 就職や研究費(グラント)申請の時、研究者としての生産性を示すことができる。これは上にも述べました。今までは論文を投稿してからアクセプトされるまでは業績や研究成果に載せられないことが多かったのですが、プレプリントを業績として認める組織が増えているので大きなメリットです。

メリットその7) そしてなによりも発見を加速させることができるのが最大のメリットでしょう。

では不安点はというと:
I’m going to get scooped!というのが最大の不安なのではないでしょうか。しかしこれは簡単にはやれないと思われます。論文の内容をプレプリントでみて、それをもとにもっとよい論文を書くというのですが、これをやるのはほぼ不可能だと思います。アイデアとか実験とかはプレプリントに書かれており、投稿日もバージョンも公開されているので剽窃は困難です。アイデアや方法、結果のクレジットを早々ととって、研究成果を共有するメリットのほうがいまや大きくなってきているようです。物理とかコンピュータサイエンスの分野でのプレプリントの経験から、scoopするのが困難でリスクをともなうことは明らかなことだと思います。その他の考える不安点も講演で議論されていますのでご覧ください。

どの雑誌がプレプリントへの投稿前の掲載を許可しているかは、ここをごらんください。

またプレプリントの雑誌会というのもネット上にいろいろあるのでその紹介やレフリーのコメントなどを公開する動きが加速しているという話も講演にあります。

プレプリントサーバーとその活用法の紹介―bioRxivの利用法3

プレプリントサーバーbioRxivの利用法の第3回です。前回紹介したように大学や大学院、そして研究室での論文ゼミでbioRxivを活用しているところが増えています。出版される前に論文を読めるというメリットの他に、その論文を査読(レフリーをする)することを体験できますし、その論文がその後どのように印刷出版されるかをたどっていくと、レフリーとのやりとりなども追跡できるので研究者の卵にもとても勉強になります。以下のサイトをみるととても役立つと思いますのでご覧ください。

まず一番のおすすめは、preLights A というサイトです。これはプレプリントのハイライトサービスで、雑誌Journal of Cell ScienceとかDevelopmentとかを出版しているThe Company of Biologistsがスポンサーになっているサービスです。生物関係のおすすめのプレプリントを教えてくれるサービスですので是非使ってください。今日みてみるとテントウムシの模様のできるメカニズムのゲノムからの解明などの研究がハイライトされています。ハイライトの一覧は、ここにハイライトされているプレプリントへのリンクがありますのでブックマークしてください。

biOverlay はプレプリントサーバーにある論文を、独自に(勝手に)選んで勝手に査読してその結果を公開しています。こういうのをoverlay journalというのだそうです。査読の仕方の勉強にもなりそうですね。ご覧ください。

Peer Community Inというのも面白いアイデアです。著者はプレプリントサーバに原稿をアップロードした後、こちらのサイトにも原稿を読んでもらうよう依頼します。こちらのサイトが原稿を独自に査読にまわすかどうか決めて、査読にまわされれば匿名のレフリーが査読します。査読がOKになったらこのサイトで推薦の辞つきで公開されるというわけです。これで著者が得心したら論文としてdoiもわりふられて業績になるという仕組みです。著者がちゃんとしたjournalに投稿するのも問題ありません(このへんの仕組みの図と詳しい説明がここにあります)。推薦の辞はプレプリントだけではなく、すでに公開されている論文についても書かれることがあるようです。
投稿できる分野は進化生物学、生態学、古生物学となっています。以下にリンクがあります。

 Peer Community in Evolutionary Biology, Peer Community in Ecology or Peer Community in Paleontology

写真は、散歩の途中で写真をとってくれと、せがんでいるように声をかけてきたスズメの子です。人を怖がらず、写真をとっている間ずっとポーズしていろんな方向をむいたりしてくれていました。数日前からヒグラシも鳴きはじめ季節が進んでいます。

 

 

プレプリントサーバーを利用した論文紹介ゼミのすすめ―bioRxivの利用法2

土曜日にサイトのテーマを携帯対応のものに変えました。携帯でアクセスする方は、携帯を横にしてみてもらうと見やすいと思います。

If you want to be one year behind, don’t read bioRxiv– Jeff Leek

今日は5月23日のプレプリントサーバーの紹介に続く記事です。上の言葉は生物統計学などで多くの論文を出しているJeff Leek先生の言葉だそうです。論文投稿前のプレプリントをプレプリントサーバーに投稿していろんな人に読んでもらい、同時に引用できるようなdoiも取得した上で改訂して適当な雑誌に投稿するという人が増えています。また大学や研究室の論文セミナーで、雑誌にでた論文を選ぶのではなく、プレプリントサーバーにアップロードされた論文を選んで紹介するという新しいスタイルの論文紹介ゼミも盛んになっているようです。雑誌に出る論文より一年以上早く最新の成果を把握できることも多いので、PubMed検索だけではなく、プレプリントサーバーの検索も習慣にすることをお奨めします。

論文紹介ゼミでは、プレプリントサーバーにアップロードされた論文を読んで紹介し、論文のレフリー(査読者)になったつもりで内容を批判し吟味します。皆で検討した結果を著者にメールなどで連絡して原稿の改善に役立ててもらうというわけです。
こうしたプレプリントのゼミをやると、研究生活の早い時期に論文のレフリーの役割を学べます。著者への連絡がとても役立ったということで、論文を雑誌に投稿するときに謝辞に名前を書いてもらった学生もいるそうです。
今までレフリーになるのは、博士課程の学生で先生のお手伝いで協力するとか、査読を依頼されたときにレフリーの経験の多い先生に教えてもらうなどしかチャンスがなかったのですが、プレプリントサーバーで原稿が読めるようになったおかげで、学部学生や修士の学生でもレフリーの勉強ができるようになったわけです。米国ではプレプリントをつかったレフリーの練習も盛んになっているとのことです。皆さんも是非お試しください。これはpreprint reviewといいますが、これについてはこのリンクも参考になります。

線虫C. elegansの最近のプレプリントで面白そうなのにこんなのがあります。 配偶子幹細胞ニッチについてのKimbleラボの論文と、ノーベル賞をとったMelloさんのところのCRISPRを用いたゲノム編集の新手法の論文です。

C. elegans germ cells divide and differentiate along a folded epithelium

Hannah S Seidel, Tilmira A Smith, Jessica K Evans, Jarred Q Stamper, Thomas G Mast, Judith Kimble

PubMed以外の便利な論文の探し方―ナショナルバイオリソースプロジェクトでも使っているサイトTextpressoの使い方1

近畿地方の皆様、昨日の地震の被害をお見舞い申し上げます。余震も続いていて昨夜も二回ほど激しい揺れがあったそうですが、どうぞ皆様お疲れがでませんように。
私達のところでも熊本地震や以前の玄海地震など、大きな地震とその後の余震では、夜もぐっすり寝られず疲れたのを思い出します。熊本のときは、緊急地震速報が町内のスピーカーから深夜に何度もながれて特に疲れました。玄海地震以降、私は実は今でも夜寝る時には、ポシェットに財布や携帯、手帳をまとめていれておいてLEDの懐中電灯をポシェットにつきさして寝ています。玄海地震ではあと数秒揺れが続いたら家が倒壊するなと思ったのを思いだします。

阪大でも建物にひびがはいっているそうですが、九大でも玄海地震のときは建物にひびが入ったり、医学部のサンプルが壊れたり、理学部の建物の間の渡り廊下がずれたりと、ひどい被害をうけました。その後、本棚から本がとびでたり、パソコンが揺れで落ちたりしないようにと対策をやかましくとるように指導され建物の補強などもすすみましたので、すこしは耐震性は向上したと思います。まだガスや水道がとまっているところも多いそうですし、大学も休校しているところが多いとのことです。どうぞ体力温存第一でお過ごしください。
さて今日は簡単に、文献検索サービスのTextpressoを紹介しておきます。

PubMed以外の論文検索法 Textpressoの使い方1

極めて精度の高い論文検索サービスにTextpressoがあります(このサイトは2018年末には廃止される予定で、最近改良されてTextpresso Centralになっています。) とりあえずは古い方のサイトをいろいろ使ってみることをお奨めします。リンク集にも線虫版のTextpressoは紹介してありますが、酵母やショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウス、カエルその他いろいろな文献を検索することができてとても便利です。日本が世界に誇るナショナルバイオリソースプロジェクト(パンフレットのリンクはここ)の一つであるナショナルバイオリソースプロジェクト線虫(遺伝子破壊株だけでなくバランサーやCreのラインなども続々提供中)では、取得した遺伝子破壊株がどのように活用されているかを調査する目的で、論文をTetpressoで検索して把握しています。私も今、論文を書いていますがこのサービスを活用してデータのチェックやっています。 Textpresso Centralの方の使い方は後日このサイトで紹介しますのでお楽しみに。(写真は今朝道端に咲いていたツユクサです)

生命科学系論文の探し方―PubMedの定期的検索

以前、PubMedの使い方について書きました。そこでふれていなかった一定の検索キーワードを決めておいて、検索を毎日定期的に行う方法について研究室内専用のホームページに書いていたものをアップデートして掲載しておきます。皆さんも自分のキーワードを組み合わせて定期的に論文検索をしてみてください。

PubMedのデイリー検索の設定法:
PubMedの文献データベースに、同じ検索式で毎日検索をかけて新しい論文を教えてくれるサービスの設定方法を説明します。まだやっていない人は試して下さい。

1) まず各自の利用しているブラウザでRSS(サイトのアップデート情報などを提供するサービス)を受信できるように設定してください。Firefoxの最新版を使う場合は、RSS リーダーの機能拡張(アドオン)である「Brief」をいれておいてください。(Brief以外の各自のお好みの機能拡張を使っても良いです。私はFirefox ESRをまだ使っているので古いSageという機能拡張を使っています。CromeやIEなど別のブラウザでは適当にお好みのRSS readerを設定してください。)

以下は最新版のFirefox quantum での、Briefのインストールの仕方です。Firefoxの一番上にあるメニューからツールを選び、その中からアドオンを選び、「機能拡張」を選んで右上の検索画面にBriefといれて検索します。

下図のようにBriefが見つかったら、Briefのアイコンをクリック。
下図のような画面が出ますので「+Firefoxへ追加」ボタンをおして、インストールすると使えるようになります。
上手くいくと、右上にBriefのアイコン(下図の矢印で示した音波のようなマーク)が表示されます。
これでBriefの利用準備は完了です。

2) 次に検索してRSSフィードを登録しましょう。
まず文献検索データベースのPubMedにいって、自分が毎日検索したいキーワードを並べた検索式を検索窓に入れて検索を行います。
たとえば、elegans AND (glyco OR sugar OR transferase OR proteoglycan OR fatty OR fat OR division OR meiotic OR meiosis OR lipid OR sphingo) AND 2003[EDAT] : 2018[EDAT]とすると、2003年から2018年までの論文で elegansを含みかつ以下のどれかのキーワード(glyco またはsugarまたはtransferase またはproteoglycanまたはetc etc)を含むものが検索されます。各自、自分にあったキーワードに変えてみてください。検索式内のANDとORと「かっこ」をうまく使うと検索式を自分用にカスタマイズできます。
検索式を入力してSearchボタンを押して検索が終わると、結果がでてきます(下図)。

 

検索結果のページの上のほうにある検索式をいれた検索窓の下(上図で指さしマークを付けてある部分)にCreate RSSと書いてあります。ここをクリックすると、下図のようなポップアップがでてきます。
結果の表示数を選ぶ箱(Number of items displayed)があって、

Feed name:の部分に検索式が書いてあるのが見えるでしょう。表示を15以上にしたければプルダウンで数を増やしておきます。OKならCREATE RSSボタンを押すとRSS feedのポップアップができます(下図)。

 

次にこのポップアップのXMLと書いてあるボタンをクリックします。開いたページ(下図)で、真ん中よりすこし右くらいにあるBriefのマークをクリックするか、それが見あたらなければ真ん中の「」の記号を図のようにクリックしてプルダウンメニューの下の方に表示されるBriefのマーク(下図の矢印のSubscribe―購読―とある部分のマーク)をクリックします。
これでRSSフィードがBriefに追加されました。うまく追加されると、一番右にあるBrief マーク(下図の矢印)に数字が入ったら成功です。
3) では、サイトの内容をみてみましょう。まず上の図の数字付のBrief マークをクリックすると、Briefの操作パネルが表示されます(下図)。

図はヘッドライン表示となっており、PubMedの最初の15件のヒットが論文の表題で表示されています。アブストラクトなど詳しいことを知りたいときは、図の矢印で示した、長方形が二つ重なっているマークをクリックすると、アブストラクトも含めて表示されます。
これで毎日、自動でBriefが検索式をPubMedにアクセスして新しい論文があれば教えてくれます。フィードはブラウザ起動中は自動でチェックされ、チェックする間隔は分、時間単位で決めることができます(設定メニュー)。

それから、もっと別の検索式を設定して、同時に2つ以上のPubMed検索を毎日行うことも簡単です。是非、まだやっていない方はお試しください。

最新の論文を探してみよう プレプリントサーバー bioRxivの利用法1

最新の論文を探すのには、PubMedやGoogle検索を使う方法が良く知られています。今回は、投稿前の論文、査読中の論文の探し方を紹介します。

論文を投稿する前に、完成した論文をプレプリントのかたちで公開サーバーにアップロードして皆に読んでもらい、プライオリティの取得もかねて意見を求めるというのは、昔から物理などで盛んな ならわしでした。現在では生命科学の論文用のプレプリントサーバーbioRxiv(バイオアーカイブと読みます)が盛んに利用されています。このサーバーを検索すれば最新の査読されていない またはここに公開と同時に査読中の論文を読むことができます。

bioRxivはCold Spring Harbor Laboratoryが維持しているプレプリントサーバーで、投稿すると内容をチェックした上で(非科学的な内容ではないか、テロに用いられるような危険な知識を提供するものではないか、剽窃した内容でないかなどのチェックです。査読してくれるわけではありません)翌日には公開されます。利用は無料です。

このサーバーはほとんどの著名な生命科学系の学術雑誌(ここに今日、ダウンロードした提携雑誌のリストがあります。投稿前に必ずこちらhttps://www.biorxiv.org/about-biorxivで確認してください。)と提携しており、bioRxivに いったん投稿しておけば、提携雑誌へ投稿する際は自動的にデータがその雑誌に移動できるようになっていて、投稿時にもう一回著者のリストを入れたりする手間はないのでおすすめのサービスです。投稿してしまえば引用可能になりますので、取り下げることはできません。利用法としては、査読のある雑誌への投稿と同時にこのサービスで投稿原稿を公開したり、bioRxivのサーバーで公開して皆にすぐ読んでもらった後で、査読のある雑誌に投稿することができます。またbioRxivに公開した後、コメントなどを参考に改訂してバージョンアップした後、投稿することも可能です。下の紹介動画をご覧ください。

私の良く知っている線虫の研究者、Josh Bembenekさんも盛んにこのサービスを利用しており、最近もこんな論文のプレプリントを公開しています。
https://www.biorxiv.org/content/early/2018/05/10/319657

線虫の細胞系譜にそって細胞質分裂の仕方が変化するという面白い内容です。

皆さんもbioRxivの検索画面で自分の好きなキーワードでいろいろ検索してプリプリントを探してみてください。最新の研究成果がいろいろ見つかると思います。

多くの雑誌ではプレプリントサーバーにアップロードして公開した論文は、投稿前のもの
prior to submissionとみなされます。中には投稿前にbioRxivでの公開を許さない雑誌もありますので、投稿前に十分調べてから投稿してください。Oxford Journal系の雑誌のように、公開プレプリントサーバーに公開しているものが投稿後にアクセプトされて掲載されるときには、すでに公開していたのだからといって、オープンアクセスの料金を払わねばならないところもありますので注意してください。各雑誌のポリシーは
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_academic_journals_by_preprint_policy
などにまとまっています。

他の分野でのプレプリントサーバーには、物理関係(経済分野も含む)のものや、は科学哲学関係のものなどもありますので、興味ある方は訪問してみてください。

ライフサイエンス辞書のコーパスを使った英語の書き方

ライフサイエンス辞書Life Science Dictionaryのサイトで、コーパス (corpus)を検索できます。先日紹介した広島大の河本健先生のページにある動画では、コーパス検索のデフォルトとしては、詳細検索を使うのがよいとのことでした。今回お伝えしたいのは、次の点です。

ひょっとしたらコーパス corpusの検索窓に、いつも一つの単語だけをいれていませんか?それはもったいないです!

コーパスの検索窓には、複数の単語の並びをいれることができます。たとえば、今論文を書いていて、 「GPIアンカー型タンパク質は、アーキアからヒトまで保存されいる」という英文が書きたいとします。アーキア(archaea)というのは古細菌ともいいます。
「アーキアからヒトまで保存されている」というのはどう書いたらいいでしょう?

まずライフサイエンス辞書のページのコーパスタブを開きます。でフルトの簡単検索画面がでますので、それにfrom archaeaといれてみましょう。

詳細検索をクリックして、表示数などを調整します。
最大1000 行表示にして、設定を記憶。冠詞や前置詞を文章内のリストに含めるなどにしています。
検索ボタンを押すと、from archaeaの部分の前後が表示されます。(表示されないときは、スペリングミスか、あるいは入力した句を含むコンコーダンスの例がみあたらないことを示します。たとえばfrom archeaとしてみてください。archeaでも正しいはずですが、用例がありません。)

上の図のコンコーダンスをみていくと、from archaea to humansという用例があるのがわかります。保存されているconservedという単語を使っている用例がないかなぁ、と詳しくみていくと(conservedという単語を画面で検索しただけですが)、ありました!
35番の文に古細菌からヒトまで保存されているという用例がでていました。

あとは、文の番号35をクリックすると、新しいタブが開いてこのように

PubMedの画面がでてきて要約Abstractの部分にある例文が容易にみつけられます(ブラウザ画面でhumansなどの単語で検索してハイライトさせてみました)。

これで目的の作文ができました。
こんな感じで、コーパスの検索窓にいろんな句を入力して用例を探すと、英文作成がずいぶんはかどりますので試してみてください。
コーパスはphrase 検索でつかわないともったいないです。

 

ライフサイエンス辞書のコーパス活用法の動画がでています

ライフサイエンスディクショナリーのページに、「ライフサイエンス辞書・英語共起表現の活用法(広島大学ライティングセンター・河本健」が紹介されていました。まだみていませんが、とても役立ちそうです。こちらには河本先生のコーパスについての解説もあります。

近所のキンランは、合計5株花が咲いています。すこし画質のいい写真をならべておきます。

ConBio2017 ランチョンセミナーの動画が公開されました

ConBio2017 ランチョンセミナーの動画が公開されました(2018.3.15)

分子生物学会・生化学会合同年会のときの私の講演のムービーが公開されましたのでご覧ください。 講演終了後、springer exemplarのサービス終了などがありましたので、その部分をカットした動画になっています。2部にわかれていますので順にご覧いただければ一番ですが、各部のみをみていただいてもよいと思います。

研究生活における電子学術資料の利活用とメリット – 第1部 情報探索とインプットをより効果的に(Part 1)

研究生活における電子学術資料の利活用とメリット – 第2部 論文執筆やポスター発表に役立てよう(Part 2)

この講演のスライドはここにあります。

退官記念食事会をしてもらいました。ランチョンセミナーの内容変更点について

今日は卒業生のOB,OGの方たちに退官記念食事会をしてもらいました。忙しい時期なので福岡在住の方が主ですが、懐かしい顔ぶれがそろってとても楽しいひと時を過ごさせてもらいました。みなさんありがとうございました。みな元気で学生時代とほとんどかわっていないのは、社会人になってそれぞれ自分が活かせる職場にいるからだろうと思います。学生さんたちのおかげで充実した大学生活をおくらせてもらいました。ほんとうにみなさんありがとうございました。また今後の活躍をお祈りします。

昨年末のConBio2017のランチョンセミナーは、200名を越える方々にきいていただけたようで、ありがとうございました。Springer-Natureによるとあの講演の中で紹介していたSpringer Exemplarが廃止になったそうです。それでスライドの該当部分を削除したものをアップロードしてありますのでご利用ください。講演のビデオも近日中にYouTubeにアップロードされます。公開されしだいこのページで連絡します。