生命科学系論文の探し方―PubMedの定期的検索

以前、PubMedの使い方について書きました。そこでふれていなかった一定の検索キーワードを決めておいて、検索を毎日定期的に行う方法について研究室内専用のホームページに書いていたものをアップデートして掲載しておきます。皆さんも自分のキーワードを組み合わせて定期的に論文検索をしてみてください。

PubMedのデイリー検索の設定法:
PubMedの文献データベースに、同じ検索式で毎日検索をかけて新しい論文を教えてくれるサービスの設定方法を説明します。まだやっていない人は試して下さい。

1) まず各自の利用しているブラウザでRSS(サイトのアップデート情報などを提供するサービス)を受信できるように設定してください。Firefoxの最新版を使う場合は、RSS リーダーの機能拡張(アドオン)である「Brief」をいれておいてください。(Brief以外の各自のお好みの機能拡張を使っても良いです。私はFirefox ESRをまだ使っているので古いSageという機能拡張を使っています。CromeやIEなど別のブラウザでは適当にお好みのRSS readerを設定してください。)

以下は最新版のFirefox quantum での、Briefのインストールの仕方です。Firefoxの一番上にあるメニューからツールを選び、その中からアドオンを選び、「機能拡張」を選んで右上の検索画面にBriefといれて検索します。

下図のようにBriefが見つかったら、Briefのアイコンをクリック。
下図のような画面が出ますので「+Firefoxへ追加」ボタンをおして、インストールすると使えるようになります。
上手くいくと、右上にBriefのアイコン(下図の矢印で示した音波のようなマーク)が表示されます。
これでBriefの利用準備は完了です。

2) 次に検索してRSSフィードを登録しましょう。
まず文献検索データベースのPubMedにいって、自分が毎日検索したいキーワードを並べた検索式を検索窓に入れて検索を行います。
たとえば、elegans AND (glyco OR sugar OR transferase OR proteoglycan OR fatty OR fat OR division OR meiotic OR meiosis OR lipid OR sphingo) AND 2003[EDAT] : 2018[EDAT]とすると、2003年から2018年までの論文で elegansを含みかつ以下のどれかのキーワード(glyco またはsugarまたはtransferase またはproteoglycanまたはetc etc)を含むものが検索されます。各自、自分にあったキーワードに変えてみてください。検索式内のANDとORと「かっこ」をうまく使うと検索式を自分用にカスタマイズできます。
検索式を入力してSearchボタンを押して検索が終わると、結果がでてきます(下図)。

 

検索結果のページの上のほうにある検索式をいれた検索窓の下(上図で指さしマークを付けてある部分)にCreate RSSと書いてあります。ここをクリックすると、下図のようなポップアップがでてきます。
結果の表示数を選ぶ箱(Number of items displayed)があって、

Feed name:の部分に検索式が書いてあるのが見えるでしょう。表示を15以上にしたければプルダウンで数を増やしておきます。OKならCREATE RSSボタンを押すとRSS feedのポップアップができます(下図)。

 

次にこのポップアップのXMLと書いてあるボタンをクリックします。開いたページ(下図)で、真ん中よりすこし右くらいにあるBriefのマークをクリックするか、それが見あたらなければ真ん中の「」の記号を図のようにクリックしてプルダウンメニューの下の方に表示されるBriefのマーク(下図の矢印のSubscribe―購読―とある部分のマーク)をクリックします。
これでRSSフィードがBriefに追加されました。うまく追加されると、一番右にあるBrief マーク(下図の矢印)に数字が入ったら成功です。
3) では、サイトの内容をみてみましょう。まず上の図の数字付のBrief マークをクリックすると、Briefの操作パネルが表示されます(下図)。

図はヘッドライン表示となっており、PubMedの最初の15件のヒットが論文の表題で表示されています。アブストラクトなど詳しいことを知りたいときは、図の矢印で示した、長方形が二つ重なっているマークをクリックすると、アブストラクトも含めて表示されます。
これで毎日、自動でBriefが検索式をPubMedにアクセスして新しい論文があれば教えてくれます。フィードはブラウザ起動中は自動でチェックされ、チェックする間隔は分、時間単位で決めることができます(設定メニュー)。

それから、もっと別の検索式を設定して、同時に2つ以上のPubMed検索を毎日行うことも簡単です。是非、まだやっていない方はお試しください。

スマホのGPSは圏外でも使える!山の中で道に迷わないために登山用アプリを利用しよう!

今日は温度は少しあがりましたが湿度が低くてあまり暑くは感じませんでした。快晴で山がとてもきれいに見えて散歩していると鶯の声もきこえて、のどかな一日でした。以前紹介した花の咲いていたリンゴの木に実がなっていました!ホタルも先週から沢山舞っています。

私の住んでいるところは山登りのコースの近くなのですが、ちょっと山のほうにいくと、携帯は残念ながら圏外になって通話できません。でもGPSは圏外でも使えるんですね。これは知りませんでした。昨日、ネットニュースにでていたので早速 携帯を機内モードにして使ってみましたが、Googleマップで現在位置を表示させてすぐ機内モードにすると、地図がキャッシュされている間は、バスで移動中もちゃんと現在位置が正確に表示されていました。ネットにはつながっていないので、しばらくするとネット接続が必要なGoogle Mapは使い物にならなくなりますが、確かに機内モードでもスマホのGPSは動いていました!

登山する人は、登山用アプリの「ジオグラフィカ」をダウンロードして使うといいそうです。これは国土地理院の地図をダウンロードした上でキャッシュしてつかうので、携帯が圏外になっても自分のいる位置がGPSでちゃんと表示されます。iPhone版とAndroid版があります。(GPSのついていないiPadとかではもちろん使えません。)

詳しくはここに開発者の方が紹介しているページもありますので、アプリのページとともにご覧ください。携帯によってGPSの精度が悪いものとよいものがあるそうで本番前にチェックしておくなどの注意が必要ですが、とても便利なアプリのようです。私もこんどの山歩きには試してみようとおもいます。

(2018.10.15 追記) いろいろ使ってみて、これはいいソフトだと思いました。ここに書いたように (2018,8,16の記事)いろんな場所の海抜とかも簡単にわかりますし、ウオーキングの時にはトラックモードにしておくと、歩いたコースが地図上に表示され、さらに上った高さ、下った高さ、歩いた距離、速度、消費カロリーなども表示できます。最近旅行にいったのですが、ケーブルカーに乗っているとき高度が刻々と変化するのをみて遊んでいましたし、山頂での山歩きには必須のソフトでした。無料版で十分役立つソフトですが、あまり良いソフトなので私は購入しました。iphone版で960円でした。

物理学の本をダウンロードしてみよう―Internet Archiveの使い方5

ちくま学芸文庫にはさまざまな科学の名著が網羅されています。カタログを眺めてみると、どれをとっても読んでみたい本ですが、科学の古典もいろいろ含まれていてそれらが日本語で読めるのはとても素晴らしいことです。Internet Archiveには、この文庫でとりあげられている多くの本や、岩波書店その他から翻訳本がでている本が沢山収録されています。Internet Archiveからは、KINDLE, epubやpdf形式など電子書籍の形式を選んで、自分のタブレットやPCにダウンロードできます。後はアプリを使って辞書を自動でひきながら読めるので、英語その他の外国語の本を読むのもずいぶん楽になりました。本当にいろんな本がよめます。今日は物理の本を紹介しましょう。
たとえば 理論物理学の教科書の定番ランダウ・リフシッツの 理論物理学教程は日本語版も出版されていますが、Internet Archiveからは英語版が無料でダウンロード可能です。検索窓に
creator:”L.D. Landau”とかcreator:”L.D. Landau & E.M. Lifshitz”で検索してみてください。とりあえず「力学」へのリンク(第2版第3版)をはっておきます。
こちらのブログ(とね日記)に詳しい情報(一部リンク切れあり)もあります。第3版のありかは、このブログに教えてもらいました。
この「とね日記」にはファインマン物理学全巻が無料でオンラインで読めるというサイトの紹介などもあっておすすめです。ファインマンはアメリカの有名な物理学者で朝永振一郎やシュヴィンガーとともにノーベル物理学賞を授賞しています。彼の大学での物理学の講義は有名でとても面白い教科書です。またご冗談でしょうファインマンさんなどの本でも有名ですね。Internet Archiveには著作の朗読や動画を含めていろいろ無料でダウンロードできるものがそろっています。ここをご覧ください。
私の学生のときには、物理学者のガモフの本の翻訳をよく読んだものでした。ガモフは遺伝暗号の解読にも参加していたので生物学への影響も大きかった人です。宇宙の開闢の時にビッグバンがあったというのを提唱した人でもあります。そのガモフの本もInternet Archiveにはいろいろありました。George Gamowで検索してみてください。トムキンス氏の冒険とかもみつかります。
「物理の伝記」とか「1,2,3、無限大」それに前に紹介した「重力」とかもあります。p135あたりから以前紹介した Faradayの研究の話が書いてあります。
その他の科学の名著として、たとえば、ちょっと検索するだけで、
フォン・ノイマンの自己増殖オートマトンの理論
とか、
Theory Of Games And Economic Behavior ゲームの理論と経済行動とかもあります。
Norbert Wienerの本もいろいろありました。サイバネティクスで有名で、二次の確率過程であるWiener過程はランジュバン方程式の勉強の時におめにかかったことがあります。
サイバネティクス Cybernetics Or Communication And Control In The Animal And The Machine は有名な本ですね。他に検索してみると、彼の自伝とかもあります。

いろいろ検索してみてください。 田んぼに水が張られて田植えの準備がはじまりました。

最新の論文を探してみよう プレプリントサーバー bioRxivの利用法1

最新の論文を探すのには、PubMedやGoogle検索を使う方法が良く知られています。今回は、投稿前の論文、査読中の論文の探し方を紹介します。

論文を投稿する前に、完成した論文をプレプリントのかたちで公開サーバーにアップロードして皆に読んでもらい、プライオリティの取得もかねて意見を求めるというのは、昔から物理などで盛んな ならわしでした。現在では生命科学の論文用のプレプリントサーバーbioRxiv(バイオアーカイブと読みます)が盛んに利用されています。このサーバーを検索すれば最新の査読されていない またはここに公開と同時に査読中の論文を読むことができます。

bioRxivはCold Spring Harbor Laboratoryが維持しているプレプリントサーバーで、投稿すると内容をチェックした上で(非科学的な内容ではないか、テロに用いられるような危険な知識を提供するものではないか、剽窃した内容でないかなどのチェックです。査読してくれるわけではありません)翌日には公開されます。利用は無料です。

このサーバーはほとんどの著名な生命科学系の学術雑誌(ここに今日、ダウンロードした提携雑誌のリストがあります。投稿前に必ずこちらhttps://www.biorxiv.org/about-biorxivで確認してください。)と提携しており、bioRxivに いったん投稿しておけば、提携雑誌へ投稿する際は自動的にデータがその雑誌に移動できるようになっていて、投稿時にもう一回著者のリストを入れたりする手間はないのでおすすめのサービスです。投稿してしまえば引用可能になりますので、取り下げることはできません。利用法としては、査読のある雑誌への投稿と同時にこのサービスで投稿原稿を公開したり、bioRxivのサーバーで公開して皆にすぐ読んでもらった後で、査読のある雑誌に投稿することができます。またbioRxivに公開した後、コメントなどを参考に改訂してバージョンアップした後、投稿することも可能です。下の紹介動画をご覧ください。

私の良く知っている線虫の研究者、Josh Bembenekさんも盛んにこのサービスを利用しており、最近もこんな論文のプレプリントを公開しています。
https://www.biorxiv.org/content/early/2018/05/10/319657

線虫の細胞系譜にそって細胞質分裂の仕方が変化するという面白い内容です。

皆さんもbioRxivの検索画面で自分の好きなキーワードでいろいろ検索してプリプリントを探してみてください。最新の研究成果がいろいろ見つかると思います。

多くの雑誌ではプレプリントサーバーにアップロードして公開した論文は、投稿前のもの
prior to submissionとみなされます。中には投稿前にbioRxivでの公開を許さない雑誌もありますので、投稿前に十分調べてから投稿してください。Oxford Journal系の雑誌のように、公開プレプリントサーバーに公開しているものが投稿後にアクセプトされて掲載されるときには、すでに公開していたのだからといって、オープンアクセスの料金を払わねばならないところもありますので注意してください。各雑誌のポリシーは
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_academic_journals_by_preprint_policy
などにまとまっています。

他の分野でのプレプリントサーバーには、物理関係(経済分野も含む)のものや、は科学哲学関係のものなどもありますので、興味ある方は訪問してみてください。

ライフサイエンス辞書のコーパスを使った英語の書き方

ライフサイエンス辞書Life Science Dictionaryのサイトで、コーパス (corpus)を検索できます。先日紹介した広島大の河本健先生のページにある動画では、コーパス検索のデフォルトとしては、詳細検索を使うのがよいとのことでした。今回お伝えしたいのは、次の点です。

ひょっとしたらコーパス corpusの検索窓に、いつも一つの単語だけをいれていませんか?それはもったいないです!

コーパスの検索窓には、複数の単語の並びをいれることができます。たとえば、今論文を書いていて、 「GPIアンカー型タンパク質は、アーキアからヒトまで保存されいる」という英文が書きたいとします。アーキア(archaea)というのは古細菌ともいいます。
「アーキアからヒトまで保存されている」というのはどう書いたらいいでしょう?

まずライフサイエンス辞書のページのコーパスタブを開きます。でフルトの簡単検索画面がでますので、それにfrom archaeaといれてみましょう。

詳細検索をクリックして、表示数などを調整します。
最大1000 行表示にして、設定を記憶。冠詞や前置詞を文章内のリストに含めるなどにしています。
検索ボタンを押すと、from archaeaの部分の前後が表示されます。(表示されないときは、スペリングミスか、あるいは入力した句を含むコンコーダンスの例がみあたらないことを示します。たとえばfrom archeaとしてみてください。archeaでも正しいはずですが、用例がありません。)

上の図のコンコーダンスをみていくと、from archaea to humansという用例があるのがわかります。保存されているconservedという単語を使っている用例がないかなぁ、と詳しくみていくと(conservedという単語を画面で検索しただけですが)、ありました!
35番の文に古細菌からヒトまで保存されているという用例がでていました。

あとは、文の番号35をクリックすると、新しいタブが開いてこのように

PubMedの画面がでてきて要約Abstractの部分にある例文が容易にみつけられます(ブラウザ画面でhumansなどの単語で検索してハイライトさせてみました)。

これで目的の作文ができました。
こんな感じで、コーパスの検索窓にいろんな句を入力して用例を探すと、英文作成がずいぶんはかどりますので試してみてください。
コーパスはphrase 検索でつかわないともったいないです。

 

夏目漱石や芥川龍之介、その他日本の著者の本を読んでみよう―Internet Archiveの使い方4

私の昨年12月のランチョンセミナー(ConBio2017)では、Internet Archiveの使い方に軽くふれただけでしたので、このブログでYouTubeの動画よりももっと詳しく紹介する記事を続けています。
私が英国のケンブリッジ大学に留学していた時、ケンブリッジ大学図書館の利用票をもらったので、よく大学図書館に通いました。図書館には英語の本だけではなく、中国語や日本語の本も沢山所蔵されていました。日本語の本では、夏目漱石全集だの芥川龍之介全集、坪内逍遥訳のシェークスピア全集など様々な本があったので、当時小学校に通っていた子供の勉強にも役立ちました。
Internet Archiveには、下で紹介した寺田寅彦の青空文庫だけではなく、寺田寅彦全集も収録されています。私がみた範囲では一巻だけ欠落していますが、ほぼ全巻収録されています。また夏目漱石全集、芥川龍之介全集、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)全集、夏目漱石の奥さんの「漱石の思い出」、芭蕉の俳句集、その他いろんな日本語の本が読めることがわかるでしょう。多くは外国の大学図書館の日本語書籍コレクションをネット公開しているものです。探し方はいろいろあるとおもいますが、夏目漱石の本を探す時の一例を画像を交えて紹介します。(画像はギャラリー表示しているのでクリックすると大きく表示されます。)

Internet Archiveのホームページにアクセスして、Search Metadataにnatsumeと入れる。漱石がsosekiになるのか、sohsekiか などがわからないので名字だけいれます(一番上の画像)。
そして左のMedia Typeのtextsのボックス(上から二番目の画像)にチェックを入れ本や論文など、テキストファイルだけに表示をしぼります。さらに、AvailabilityのところにあるAlways Availableにチェックを入れると無料で読めるものだけに表示がしぼられます(上から3番目の画像)。本の表紙などの画像が自動で表示されますので、あとは画像を上から順にみていくだけです。マウスをドラッグして表示の下まできたら、 マウスをさらに下にドラッグするとFetching more resultsというメッセージがでて矢印がくるくるまわり、さらに本が表示されますので、どんどん表示させてみていってください。画像をみていくとマンガとかもヒットしていますが、それはnatsumeで検索しているから漱石でないnatsumeさんがヒットしているわけです。今回はそれは無視して画像をみていくと、漱石の作品の英訳本や漱石の伝記、「漱石の思い出」などがあって、その下あたりに漱石全集の画像があると思います(一番下の画像)。クリックすると本が表示されますので読んでみてください。虫メガネのアイコンをクリックすると画像を大きくして読むこともできます。
今回はtextにチェックをいれて表示を本に絞りましたが、チェックをいれないで検索するのもやってみてください。漱石の作品の朗読なども聞けます。いろいろ試してみてください。

ノストラダムスの大予言がふっとぶ予言書? ルクレチウスの事物の本性について-Internet Archiveの使い方3

このところ紹介しているInternet Archiveは、様々な本が登録されていて、pdfのほか、epub形式その他 様々な形式でダウンロードできます。iOSの人もwindowsの人も、Linuxの人もKindleの人も、それぞれにあった形式の電子書籍をダウンロードできるのがすごいところです。もちろん動画や音楽なども登録されているのでそちらをいろいろみてみるのも楽しそうです。今日はInternet Archiveに入っている、紀元前のローマの詩人、古代ギリシャの原子論を現代に伝えているルクレチウスの本(英語への翻訳版)”On the Nature of Things”「物の本質について」を紹介します。この本は、ピュリッアー賞をとった「1417年その一冊がすべてを変えた」(原題はThe Swerve: How the World Became Modern という本によって、一躍 欧米で注目された本で、有名なビーナスの誕生の絵はルクレチウスの著作の始めの部分をモチーフにして描かれているという説もあります。
日本では寺田寅彦が随筆「ルクレチウスと科学」でやさしく紹介したので、昔から有名で、私が初めてルクレチウスの名前を知ったのも岩波文庫で寺田寅彦随筆集を読んだ時でした。子供向けの本(「原子の歌 宇宙をつくるものアトム」 (科学入門名著全集)など)としても翻訳がでていました。寺田寅彦のこの随筆はInternet Archivesにも収録されていて、全文はここにあります。これは日本の青空文庫のものをアップしてあるのです。この随筆をみてすぐに岩波文庫の「物の本質について」を買ってきて読みました。

寺田寅彦の紹介を読んでもらえばわかりますが、この本は19世紀から20世紀にかけて多くの科学者に読まれ、インスピレーションの源泉として利用された本です。成立したのは紀元前1世紀、原子論で有名なエピクロスの学説を詳しく伝えているとされる本です。1417年、ドイツのとある修道院でこの写本がみつかりこの一冊がルネサンスをよびよせたともいわれるほど大きな影響を与えました。神々の怒りに恐れている人々に、この世には原子と空虚しかなく、原子は不滅であるので何も恐れることはないと説くこの本は、宗教に脅されている人々には強い味方となったと思います。すべてが決定論的におこらないように、ルクレチウスのアトムはときどきランダムなずれの運動(swerveと訳されています)をおこなうと書かれています。まるで量子力学の波束の収縮の予言、あるいは波動関数の確率解釈の予言みたいですね。

寺田寅彦の紹介を読むと、ルクレチウスは現代科学を生む原動力になったのがよくわかります。ノストラダムスの大予言というのが昔、はやりましたが、ルクレチウスの本は、ノストラダムスよりも、もっともっと影響力の大きい予言書として働いたという言い方も可能かもしれません。さまざまな科学者がルクレチウスを読んでそれをどう解釈して科学に役立てるかを考えたようです。ルクレチウスと科学についてはInternet Archiveにもいろいろ本がならんでいます。寺田寅彦の随筆には、Munro訳のOn the Nature of Thingsについて触れられていて、これはInternet Archiveにアップロードされており(全3巻)、 その第2巻に、寺田寅彦の紹介している物理学者のAndradeの序論(The Scientific Significance of Lucretius)が載っています。寅彦の読んだ本を今、ネットで自由にダウンロードしてタブレットやパソコンで読める時代になっているのですね。感慨もひとしおです。

この原稿を書こうとネット検索しているとき以下のページにルクレチウスの本の英訳をみつけました。Vancouver Island Universityの名誉教授Ian Johnston先生が、なくなったお子さんに捧げているページです。そこにはルクレチウスのほか、ホメロスモンテーニュ、カフカカントの著作(「永遠平和のために」など)もアップロードされていますし、「ダランベールの夢」とか、デカルトの方法序説省察ニーチェの著作などもあって、とてもいいサイトになっていましたので、ご覧ください。ルクレチウスについての紹介の他、Munro訳をもとにした新訳がアップロードされていてオンラインで読める他、rtf版もダウンロード可能です。

 

ライフサイエンス辞書のコーパス活用法の動画がでています

ライフサイエンスディクショナリーのページに、「ライフサイエンス辞書・英語共起表現の活用法(広島大学ライティングセンター・河本健」が紹介されていました。まだみていませんが、とても役立ちそうです。こちらには河本先生のコーパスについての解説もあります。

近所のキンランは、合計5株花が咲いています。すこし画質のいい写真をならべておきます。

ファラデーの日記をダウンロードしてみよう。Internet Archiveの使い方2 J-STAGEとの組み合わせ。

マイケル・ファラデーはイギリスの生んだ偉大な科学者です。彼の実験ノートについては以前ふれましたが、Internet Archiveからその実験ノート(Faraday Diary)のvol.1-vol. 5までをダウンロードすることができます(全7巻なのですが残りはまだアップロードされていません)。Experimental Researches in Electricityや、有名なロウソクの科学、その他いろいろなFaradayの本がありますので検索してみてください。ファラデーはモーターも発明していますが、動いている様子は以下のYouTubeの動画にあります。この動画はアインシュタインのE=mc2をテーマにした優れたドラマ仕立ての作品です。日本語吹き替え版も探せばありますが、やさしい英語ですので英語でみるほうが画質もいいのでおすすめです。この中にはアインシュタイン、ファラデー、ラボアジエ、エミリー・デュ・シャトレ、リーゼ・マイトナーなどが登場します。若いファラデーの物語のほか、老いたファラデーをマックスウェルが訪れて、ファラデーに電磁場の真空中の速度が光速と等しいと告げて、ファラデーの予言(光は電磁波である)どおりだったと告げる感動の場面も描かれています。

ファラデーは電気分解のファラデー定数でわかるように電流と化学を結びつけたほか、電気と磁気、重力の関係を探る実験も繰り返していました。場の概念は現代物理学の基礎ですが、彼は電気力線の概念を提唱して物理学に場の概念を持ち込んだ偉大な科学者です。このへんのところは、ファラデーの電磁気学研究における力・力能・粒子」夏目賢一著という論文をご覧ください。

また町の図書館で借りて読んだ本ですが、物理学を変えた二人の男―ファラデー,マクスウェル,場の発見(岩波書店)も良い本でした。下はガモフの「重力の話」(伏見康治 訳)ではじめて読んで感激したファラデーの言葉です。重力と電気の関係を探る一連の実験の締めくくりの言葉です。

2717 Here end my trials for the present. The results are negative.They do not shake my strong feeling of the existence of a relation between gravity and electricity, though they give no proof that such  a relation exists. Royal Institution, July 19, 1850. (Experimental Researches in Electricity, Dover版、第二巻、168ページより)

ファラデーの日記ですが、関連した論文をJ-STAGEからダウンロードできるので紹介しておきます。1932年の応用物理に「フアラデーの日記」(矢島 祐利)という記事がのっています。ファラデーの日記が出版されるごとに解説を加えたものでファラデーの日記(2)、ファラデーの日記(3)とつづき、(6-完)まで記事があります。どれもJ-STAGEからダウンロードできますのでご覧ください。最近の日記の解説では「実験の天才ファラデーの日記」(木原 壯林)が同じくJ-STAGEからダウンロードできます。この記事に書いてあるペーパーバックス版のファラデーの日記は、私も出版されたときすぐ購入して全巻持っています。J-STAGEについてはこちらをご覧ください。

謎のVoynich手稿:ボイニッチ手稿をダウンロードしてみよう (Internet Archiveの使い方1)

今回は、Internet Archiveの使い方の練習です。

ボイニッチ手稿Voynich manuscriptというのをご存知ですか?図のような不思議な文字と絵が満載の古い本です。NHKのBSで幻解!超常ファイルというシリーズがありますが、最近その番組で紹介されていました。何が書いてあるのかいまだに解読されていないという謎の手稿です。解読しようと多くの暗号解読者が挑戦しましたが誰一人として解読に成功していません。何語で書かれているのかもわからないという絵だけがやたらきれいな謎の手稿です。でたらめが書かれているのではなさそうである、という統計解析の結果もでていますが、何の意味もないでっちあげの本で高値で販売するために作ったという説もあるようです。ときどき、解読の突破口というようなニュースもでます。

不思議な植物や入浴中(?)の女性、そして天体のような図が満載の本ですが、未知の言語で書かれている不思議な本です。昔、町の図書館で「ヴォイニッチ写本の謎」(青土社)という本を読みましたが、この本は暗号解読の解説がとてもわかりやすくおすすめです。

さて、本題ですが、Voynich manuscriptを無料でダウンロードしてみましょう。高解像度の各ページのjpegファイルをダウンロードすることもできますし、Yale大学図書館に所蔵されている原本をスキャンした本を一冊まるごとダウンロードすることも可能です。Internet Archiveからダウンロードします。サイトにアクセスして、右上のSIGN INの右のほうにある、SearchのところにVoynich manuscriptといれます。プルダウンでSearch metadataにチェックが入っているのを確認してください。エンターを押すと検索が始まり、Voynich manuscriptのテキストやオーディオファイルその他がリストされます。この中からtextのファイルを左のmedia typeの中からtextsにチェックして選ぶと23個のテキストファイルが表示されます(high resolution jpeg imagesもあります)。一番上のファイルをクリックすると、ダウンロードページが開きます。画像をクリックすると1ページずつ読めますし、ダウンロードするファイルの形式(pdfやepubその他いろいろ)を選んで自分のディバイスにダウンロードして保存することも可能です。以下の画像を参照しながらやってみてください。

答え合わせとして、リンク集に直リンクが載せてありますので、参考にしてください(5月16日追記)

Internet Archiveは私の電子資料の活用法の動画でも紹介しましたが、きわめて有用なサイトです。このような面白い例で使い方に慣れてください。