糖鎖科学の最新のビデオの紹介です―NIH VideoCast

NIHのビデオキャスト糖鎖科学デーの講演会のビデオがアップロードされています。NIHのvideocastingはNIHで公開されている講演会をビデオでみられるサイトです。ビデオのダウンロードやキャプションファイル(字幕ファイル)のダウンロードもできます。
またNIHのpodcastもあってこちらでは、videocastとaudiocast が見たり聞いたりできますので携帯とかでみるのに便利です。

2018 NIH FDA Glycoscience Research Dayというのが、本年7月13日に開催されており、そのビデオです。この糖鎖科学の講演会と研究発表会の催しは去年も開催されており、そのビデオの内容は私の去年の九大での糖鎖科学の講義にも活用させてもらいました。今年はどんな内容なのか楽しみです。皆さんも是非ご覧ください。

ビデオはダウンロードすることができますし、画質も選べます。ビデオの掲載されているページにある下のようなリンクをクリックするとダウンロードできますので、やってみてください。このビデオは5時間ちょっとの講演会の記録になっています。英語が聞き取りにくい方は、キャプションファイルもダウンロードできますので便利です。

To download this event, select one of the available bit rates:
[64k]  [150k]  [240k]  [440k]  [740k]  [1040k]  [1240k]  [1440k]  [1840k]

生命科学系の英語の講演会のサンプルとしても使えますので、自分で英語で講演するときの参考にもどうぞ。またスライドがビデオにうつっていますが、高解像度のビデオをダウンロードすれば、字も絵もきわめて高画質でみられますのでとても便利です。この記事は高画質版をダウンロードしながら書いています。 (今終わりました。1.5Gのサイズだと40分弱かかりました。)

毎日暑いです。写真は車で夕方涼みにいったダムからみた博多湾です。ひぐらしが鳴いてとてもきれいな公園でした。

日本の糖鎖科学ロードマップが発行されました!

以前の記事(2018年5月9日)でお知らせしていた日本版の糖鎖科学研究のロードマップ
未来を創るグライコサイエンスー我が国のロードマップー」が完成して発行されました。6月初めに自宅に届いたのですが、入手法を問い合わせていたのでご案内が遅れました。入手法が公開されましたとの案内が今日届きましたのでお知らせしておきます。

日本糖鎖科学コンソーシアム(JCGG)のホームページ(→)から一冊1000円(送料はJCGGが負担)で購入できますので上のホームページのリンクから申し込んで是非ご覧ください。

糖鎖科学を学ぶ人、糖鎖科学の将来や応用を考える人、医学研究者や医療従事者、糖鎖に関心のある事業家など、糖鎖科学に関心のあるすべての方の必携の参考書です。英語版も以下のタイトルでSpringer-Natureから発行されます。
Glycoscience Application and Basic Science :Insights from Japan Consortium for Glycobiology and Glycotechnology

日本語で読めますのでまず日本語版を購入されることをお奨めします。

糖鎖生物学の最新の英語講義シリーズの紹介と、その他の面白いサイトの紹介です

このサイトですが、RSSフィードがこのブログページからしかでないというデフォルト設定でした。今日、プラグインをいれて、固定ページからもRSSフィードがでるようにしました。リンク集を今朝、すこし改訂して以下の記事のサイトもとりこみましたが(入れたばかりのリンクを赤い文字で表示してみつけやすくしました)、そうした固定ページへの変更もRSSフィードでわかるようになっているはずですので、是非、RSSフィードも使って訪問してくださるようお願いします。

さて本題です。ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins大学)医学部で2018年におこなわれている糖鎖生物学の最新の講義Introduction to Glycobiology(英語の講義です)が面白そうです。ビデオが順次アップロードされており、みるだけで糖鎖生物学の基本と医学とのかかわりが勉強できます。有名なG. Hart先生やその他の先生が講義されておりシラバスがここにあります。是非聴講してみてください。

その他、リンク集には:
科学技術振興機構JSTのバイオサイエンスデータベースセンターのポータルサイトへのリンクも載せました。中にはいろいろ役立つサイトへのリンクがありますのでクリックして探してみてください。
たとえば、新着論文を紹介している、
ライフサイエンス新着論文レビュー
最新のレビュー記事をのせている、
ライフサイエンス領域統合レビュー
など参考になるリンクがあります。自分に役立ちそうなサイトをブックマークして使ってみてください。

またバイオ系の英語の書き方については以下のブログも参考になります。
http://bioenglish.hatenablog.com/

NCBI Bookshelfの紹介と、糖鎖生物学の教科書、糖鎖科学のロードマップの紹介です。

ランチョンセミナーでも紹介しましたし、またこのサイトのリンク集にもあげてありますが、NCBI Bookshelfには様々な生命科学の本がアップロードされており、自由にオンラインで読めたり内容を検索して読んだりできるので、勉強や研究にとても役立つ、活用できるサイトです。ストライアーの生化学(第5版)だのMolecular Biology of the Cellの古い版(第4版)などもありますので、本のタイトルを見るだけではなく、ページの一番上にある、キーワード検索ボックスを活用していろんな本を縦断検索してみてください。レポート作成や、新しい分野の研究のための予備知識の収集、セミナーや授業の準備などに大いに役立ちます。

私達の研究している糖鎖生物学の定番の教科書Essentialsof Glycobiologyの第3版(Cold Spring Harbor Press社、2017年発行の最新版です)がこのサイトにあるので、オンラインで無料で読むことが出来ます。編集者のEskoさんのカリフォルニア大学サンディエゴ分校のサイトには、この本の図(低解像度版)と図のパワーポイントスライドをダウンロードできるようにしてありますので、興味のある方は訪れてみてそこに書いてある著作権に留意した上でご利用ください。
糖鎖生物学は、アメリカでは研究のロードマップが公開され、集中的な予算投下で研究が猛烈に進んでいる分野です。アメリカの医療研究機関では糖鎖生物学の研究者がひっぱりだこで、人材不足になっているという話です。この糖鎖科学研究のロードマップ(Transforming Glycoscience
A Roadmap for the Future, National Research Council (US) Committee on Assessing the Importance and Impact of Glycomics and Glycosciences))もBookshelfに公開されていますのでご覧ください。pdf版もここからダウンロードできます。
これは日本語訳も発行されていますが、日本でも最新の研究成果をふまえたグライコサイエンスのロードマップが完成しており、ほどなく公開される予定です(私も執筆しています。英語版も発行されます)。

 

キンランの花が咲いていました!ヨーグルトと血液型の関係

キンランの花をみつけました。

近所を散歩していると、公園の斜面にキンラン(金蘭)が咲いていました。絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト) に指定されている植物で、黄色い小さな花をつけていました。この斜面は金蘭の自生地として立ち入り禁止になっていて、さらにその中の特定の場所は四角にロープが張ってあって保護されています。今年はその四角の中に2株が花をつけており、写真の花はもう一つの四角エリアの外に咲いていました。きれいですね。毎年4-5月に咲くとのことです。キンランは、地中の、菌根菌(菌類です。fungi)と共生するそうで、株を掘り出して家にもちかえっても長く生かすことはできないし、繁殖させることももちろん不可能だそうです。生育条件がよくわからないので、この花の種子だけを保存しても、花を再生することはできないことになります。

町がたてたキンランの自生地の看板には、天皇陛下御歌が書いてありました。
 「語りつつあしたの苑(その)を歩み行けば林の中にきんらんの咲く」(平成30年1月12日「歌会始の儀」)

共生といえば、人間も腸内細菌と深くかかわりあい、相互作用しながら生きていますが、この花も地中の菌類の生命活動とともに繁殖しているわけです。生物が相互作用しながら生きていることを教えてくれる花ですね。

余談ですが、人間の腸内細菌といえば、ヨーグルトの乳酸菌もいろいろありますね。もともとは人間の腸由来の乳酸菌を使っているので、ヨーグルトを食べる人の腸細胞表面の糖鎖配列の違い、たとえば血液型の違い(ABO式血液型は糖鎖配列の違いの一例です)によって定着しやすい乳酸菌とそうでないものがあるそうです。つまりヨーグルトの乳酸菌をもっていた人の腸細胞表面の糖鎖配列と同じ糖鎖をもっている人の腸には、より乳酸菌が定着しやすいはずだというわけです。市販のヨーグルトをたべてみて、自分にあうと思う製品は、ひょっとしたらその人の血液型にあった乳酸菌を使ったヨーグルトなのかもしれません。

夏真っ盛りです。Pompe病の治療薬開発のドラマ 「小さな命が叫ぶとき」の紹介など

福岡では毎日猛暑日がつづいており、空は雲がない毎日です。
大学院入試やオープンキャンパスも終わり、11日から16日まで一斉休止実施期間も終わりましたが、夏真っ盛りで本日も熱中症警報がでています。
8月6日土曜日のオープンキャンパスでは多数の生徒さんや先生がたに来学いただき、にぎやかな一日を過ごせました。 暑い中、九州大学を訪れてくださってどうもありがとうございました。 研究室を訪問してくれた高校生のみなさんには、糖鎖生物学の話をきいてもらいました。その中で紹介した糖鎖生物学と病気について考えさせてくれる映画 「小さな命が叫ぶとき」(原題:Extraordinary Measures)はレンタルビデオ屋さんなどでよく見かけます。夏休みにおすすめの映画ですので、ぜひご覧ください。

グリコーゲンがうまく分解されないためにおこるPompe(ポンぺ)病という病気の治療についてのDuke大学での実話に基づく映画です。ハリソン・フォードが治療薬を開発する研究者を演じており、病を抱える子供たちを救おうと製薬会社をたちあげる父を ブレンダン・フレイザーが演じています。

リソソームで 糖鎖がうまく分解されないことで起こる病気はリソソーム病(ライソソーム病、ライソゾーム病ともいいます)の一種ですが、不具合のある分解酵素によって様々なものが知られています。日本でも様々な研究室で治療法の開発がつづいています。

今年は冬がとても寒く、夏がとても暑いからでしょうか、自宅の庭には例年になく たくさんユリが花開きました(写真は朝とったユリの影です)。 まだ大学院入試や就職活動が続いている学生さんも多いと思います。夏バテしないように、気をつけて頑張ってください。

糖鎖化学の教科書の紹介  (2009/10/17)

前回はオハイオ州立大学がうんだ大科学者Paulingさんのことにふれました。先日99才でなくなった阿武 喜美子(あんの きみこ)先生(お茶の水女子大学名誉教授)もオハイオ州立大学に留学されていたのを思い出しました。阿武先生は日本の女性科学者の地位を確固としたものにするのに大きく貢献された有名な糖化学者です。

糖鎖生物学を学ぶとき糖の化学をどんな本で勉強したらいいですかと先生にきいたとき、まず推薦されるのが
「糖化学の基礎」 (阿武 喜美子・ 瀬野 信子 著) というすぐれた教科書です。残念ながら絶版になっているようで古書でしか手に入りませんが、図書館には所蔵しているところが多いので是非、手にとって勉強してみて下さい。

阿武 喜美子先生の業績については「女性科学者のパイオニア達」というシリーズのテレビ番組で詳しく紹介されています。番組をみてから上の教科書を開いてみるとまた理解も格段にすすむのではないでしょうか。

理化学研究所のビデオ配信サービスYouTubeでみられますので、是非ご覧下さい。

 

 

 

 

 

糖鎖生物学って何だろう?(1) インフルエンザウイルスの話

インフルエンザウイルスは糖鎖を使って感染する。生物の細胞の表面は糖鎖でびっしり覆われています。これを糖衣glycocalyx(グライコ・ケイリクスと発音します。覚えておくとよいのですが、英語では単語の中にあるa という文字は「ア」と発音しないで「エイ」と発音する場合が多いです)と呼びます。細胞は糖のころもを着ているのです。糖衣は細胞の一番外側にありますから、外から細胞に感染するウイルスやバクテリアが最初に接触するのが糖衣の糖鎖です。今話題のインフルエンザウイルスもこの糖衣を介して細胞に感染し、細胞に侵入していきます。H1N1とかH5N1とか表記されるHがヘマグルチニン(赤血球凝集素Haemagglutinin)の略で、これは糖鎖と結合するウイルスの成分蛋白質を表し、1とか5とかいう数字はその亜型を示します。ウイルスは細胞表面にある酸性の糖であるシアル酸 (ノイラミン酸neuraminic acidの誘導体の総称です)を含む糖鎖と結合して細胞内に侵入、細胞内部で複製します。細胞を殺して外へ飛び出そうとするときウイルスをくっつけるシアル酸があると今度はじゃまで出られません。それでノイラミニダーゼという酵素(これがH1N1Nです。NeuraminidaseNです。)をもっていて、これを使ってシアル酸を分解して外に出ます。この酵素を働けなくするのがタミフルリレンザという薬です。

インフルエンザウイルスに限らず、ウイルスのほとんどすべては糖鎖を介して感染します。糖鎖の機能を調べる糖鎖生物学の研究は、ウイルス感染の克服に必須です。

インフルエンザやウイルスと糖鎖については以下のリンクに更に詳しい説明があります。

Glycomicrobiologyのやさしい解説 (日本語)―インフルエンザウイルスやノロウイルス、C型肝炎と糖鎖の関わりがよくわかるサイトです。

glycocalyxの写真はGoogle 画像検索で探してみてください。