山中伸弥先生、John Gurdon先生 ノーベル賞おめでとうございます。(2012.10.09)

 昨日、 学校からの帰り道、6時半の発表を楽しみにして車のラジオをつけていると、山中先生の医学生理学賞の受賞の臨時ニュースがとびこんできました。他の受賞者については報道されていなかったのでGurdonさんは絶対もらっているはずだなどと話しながら7時のニュースをラジオできくと、やった!Gurdonさんとの共同受賞でした。Gurdonさんは九大の発生生物学講座こられたこともあり、一緒に太宰府を散策したこともある先生です(写真は太宰府散策中の先生。竹藪に入りたいといって、このあと入っておられました)。今回の受賞は現代的に変容した、発生生物学への受賞ともいえると思います。発生生物学を学ぶ人がこれからさらに増えるのではないでしょうか。発生生物学の基礎研究の成果が山中先生の偉業として花開いたのだと思います。BriggsとKingにはじまる核移植とGurdonさんにはじまって、山中先生にいたるこの道を拓いたのは、いったん分化した細胞が別の分化した細胞へと変化する、分化転換の研究(岡田節人先生や江口吾朗先生、 スイスの故Schmid先生などによる精力的な研究)だと思います。

Gurdonさんの業績は教科書にのっており、分化した体細胞の核には受精卵の核の状態に戻って個体をつくれるだけの情報があることを鮮やかに示したものでした。私がCambridgeの動物学教室にいたときはGurdonさんは同じ教室におられたので、DNAの塩基配列の決定をGurdonさんの研究室で机を借りて行っていたのでよく話していました。名前を冠したGurdon Instituteができてからも何度かおじゃましたことがあります。とても紳士的な先生で、九州に以前こられたときは塩川光一郎先生のお宅にとまられて趣味の蛾の採集をされていたときいています。去年も九大医学部にこられておりました。その前には帝京大学で学生相手に特別講義をされたりもしていて、若い人々を鼓舞するのもとてもお上手です。ノーベル賞講演が楽しみですね。山中先生のノーベル賞講演も楽しみですが、その前に、以前紹介したNIHでの山中先生の講演のビデオ(2010.1.29のこの欄)も是非ごらんください。はじめにNIHの所長がいかに信じがたいほどすばらしい業績かというのを述べているところが印象的です。山中先生の論文発表の後、多くの研究者が自分の研究に、山中先生たちが4つの転写因子に絞り込んだ方法をお手本として(Yamanaka methodと称して)使っています。

科学の方法論の提示という業績も山中先生の御仕事には含まれていますね。